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事業の今後の方向性を考える(アンゾフの成長ベクトル)

アンゾフの成長ベクトルとは、現在の「製品ー市場分野」との関連から今後の会社の方向性を分析する技法です。

つまり、会社の方向性を検討する際に、考慮するべき要素としては、どのような製品・商品・サービスを用いるかということと、どのような市場・顧客にアプローチするかということがあるということです。

市場とは製造業が捉える提供先といった意味合いが強いですが、製造業以外の企業としては顧客と捉えるとよいです。例えば、サービス・小売業などからすると市場を顧客と読み替えていただくと良いかと思います。

市場・顧客とは、製品・商品・サービスを誰に向けて売るか、誰に自社の商品を買ってもらうかということです。

会社の方向性を検討する際に考慮するべき要素であるどのような製品・商品・サービスを提供するか、市場・顧客はどうするか、その2点について、アンゾフの成長ベクトルは分析を行っているわけです。

今日的にはその2点に加えてどのように売るか、要するにプロモーション(宣伝方法)を考えなくてはいけません。いくら製品・商品・サービスが斬新でも顧客にその情報が届かなければ意味がありません。

製品がかなり革新的なものであったとします。この場合には、他社からの競争優位性という意味では優れているかと思います。しかし、革新的な製品であれば、購入者はその製品の革新性を少し説明されたぐらいでは理解できないかもしれません。その場合には、プロモーションが難しくなります。なぜなら、顧客となる人はテレビのコマーシャル、ネットの広告、自宅のポストに入っているチラシなど常に売り込みを受けており、プロモーションを嫌がる傾向がありますので、製品の説明を長く受けることを嫌がるからです。

おそらく、その製品の革新性が15秒程度で理解できないとすぐに他に関心が移ってしまいます。そのため、革新性が高い製品はそれだけプロモーションに多大な費用がかかってしまう傾向にあるかと思います。

逆に、よくある製品を扱っていると、顧客はすでにその商品を知っているわけで、プロモーションは革新的な製品と比べると容易かもしれません。しかし、あまりにも普通の製品すぎると他社との競争優位性を築くことは難しく、結局は価格競争に陥ってしまいます。

価格競争とは結局は安売りをするということになり、十分な収益を得ることは難しくなります。つまりは、製品の革新性とプロモーションの費用はトレード・オフの関係になることが多いです。そのために製品を考える際に、プロモーションのことも十分に検討しておく必要があります。

まとめますと、会社を経営する際には、以下の3点について明確にしなくてはなりません。
製品・商品・サービスはどうするか
市場・顧客は誰か
プロモーション(広告宣伝)をどうするか

アンゾフの成長ベクトル論では、会社の成長の方向性を検討する手法ですので、すでに何かしらの事業を行っていることが前提となり、そこから今後の成長の方向性を考えていくということになります。

そうなるとこれから起業する方には全く関係がないということになってしまいますが、学ぶべき点がないかというと決してそういう訳ではございませんので、ぜひ、本記事を読み進めて下さい。

アンゾフの成長ベクトル論の具体的な内容ですが、現在の市場に対して現在の製品と類似するような製品を販売していくことはリスクが低いですが、現在の市場に対して現在の製品と類似しないような新製品を販売することはリスクが高くなります。

同様に、現在の製品に対して現在の市場と関連する市場に販売していくことはリスクが低いですが、現在の製品を、現在の市場と関連性がない市場に販売していくことはリスクが高くなります。

また、現在の製品とも現在の市場とは全く関係のない市場に対して販売してくことは極めて高いリスクとなります。

以上を表にまとめると以下のようになります。
アンゾフの成長ベクトル


1.新市場に対して現在の製品を販売する
なぜ、新市場に対して現在の製品を販売していくことが現在に市場に対してアプローチしていくよりリスクが高いかというと、それはプロモーションとの兼ね合いです。

新市場にアプローチしていくには、これまでの顧客とは異なった顧客に対してアプローチしていかなくてはいけませんので、プロモーションを一から行わなければなりません。

また、新市場の顧客は現在の市場の顧客とは全く異なったニーズを持っているかもしれませんし、商習慣も全く異なっているかもしれません。例えば、現在の製品の顧客が法人企業だった場合に、新しい顧客として消費者(個人)をターゲットにする場合などです。
それらの問題を一つずつクリアして行かなければならないのです。

現在は物やサービスが溢れている時代なので、すでに顧客は現状に満足している場合が多いです。そのため、単に製品が良ければ売れるということはなく、うまくプロモーションをしていくことが重要となります。

これまでの製品に対するニーズが異なる企業に対して、プロモーションを行っていくには、これまでに行ってきた手法が必ずしも役立つとは限りませんから、やはり、それなりにリスクが発生すると思った方が良いでしょう。

2.現在の市場に対しての現在の製品とは全く関係のない製品を販売する
現在の市場に対して、現在の製品とは全く関係のない製品を販売していくことも高いリスクが伴います。

これは容易に想像がつくのではないでしょうか。

つまり、現在の製品とは関係のない製品を開発していくということは、例えば、パン屋さんがパスタを作るようなものです。

現在の製品と関係がある製品を作るとは、例えばあるパン屋さんでアンパンを作っていて、そこにクリームパンを作るようなものです。アンパンが作れるのでしたら容易にクリームパンは作れそうです。しかし、現在の製品とは関係のない製品を開発する際には、これまでのノウハウは活かせそうではありません。パンを作るノウハウはパスタ作りに活かせそうではありません。

パン屋さんがパスタを作ってもそもそもパンを作るに当たってのノウハウはパスタ作りには活きてきませんから、おいしいものが作れるとは限りませんし、パンを作るための道具や設備は必ずしもパスタ作りに利用できるとは限りませんから、新たな設備投資が必要になるかもしれません。

そのように考えるとパン屋さんがパスタを作ることはクリームパンを作るよりもリスクが高そうです。

それでは、同じリスクが高い、現在の製品と関連性がある製品を現在の市場と関連性がない市場に投入するのと、現在の市場に対して現在の製品と関連性がない製品を投入するのとでは、どちらの方がリスクが高いでしょうか。

製品を作るのに比較的コストがかかる企業にとっては、現在の製品と全く関係のない製品を一から作ることは製品開発費や設備投資などを考えると相当にリスクが高そうです。そのような企業は、現在の製品を作るノウハウを活かせるように、現在の製品を新規市場に展開した方が良さそうです。

現在の市場に対して現在の製品と関係性がない製品を展開するということは、つまり今の顧客に対して別製品を販売するということです。この場合は製品販売を代理店契約しているような営業会社などはこちらの方が行いやすいかもしれません。

例えば、すでに法人営業としてプリンター(複合機)メーカーと代理店契約を行って販売を行っている会社が、それに加えてインターネット回線の販売を行う場合などです。その場合には、すでに営業で法人を訪れているのですから、その際にプラスしてインターネット回線の販売も行うことはあまりリスクがなさそうです。

つまり企業にとって、製品を中心に考えているのであればその製品にこだわって新市場への販売を考えた方がよいですし、逆に現在の顧客を中心に考えるのであればその顧客のニーズを満たすように新製品や新サービスを検討するのが良いのではないでしょうか。

ただし、最もリスクが低いのは現在の市場に現在の製品ないし関係性がある製品を展開していくことですから、まずは現在の市場でNO.1になることないし、限界までお客様を増やすことを考えなくていけません。

よく、中小企業で現在の商品・市場で十分な収益があげられないからといって、他の市場や別のサービスを導入しようとする企業が結構な割合でいます。現在の市場でも十二分に成長をしている企業が少しでもいるのであれば、まずは、現在の商品・市場で成果があげられることを考えるべきです。

なぜなら、アンゾフの成長ベクトルが示す通りに、新市場や新製品を開発するよりも現在の商品・市場で勝負する方がはるかにリスクが低いからです。

そもそも会社経営というのは難しいものです。よく10年後に残っている会社は全会社の3%などといいます。そもそもアンゾフの成長ベクトルで低いリスクと言われる現在の商品・市場で勝負すること自体が実際は相当に難易度が高いことなのです。

また、事業を行っているとついつい他社の成功事例や景気がよい業界や商品の話題を見聞きすることが多いと思います。そのため、深く考えないとついついそのような事業に手をつけたくなります。

確かに、話題の商品やサービスに飛びつけば、そのような市場は急成長している訳ですから、一時的に収益が上がるかもしれません。しかし、やがては、しかも早いうちに市場は成熟化して、やはりその分野でもそれなりの競争力がないとすぐに淘汰されてしまいます。

また、なまじっか事業を大きくすると設備投資への借入などをすることもあり、今度は市場が成熟化して収益があげられなくなった場合には、事業縮小ができなくなり場合によっては倒産といったことになる可能性も考えられますので十分に気をつけましょう。

3.新市場に新製品を販売する
新市場に新製品を投入するということは、完全な新規事業を行っていることと同じになります。完全な新規事業を行っているということは、別の言い方をすると、新しい会社を立ち上げるのとほとんど同じことです。

創業なされた方だとお分かりだとは思いますが、創業時は相当にパワーが必要です。つまりは、まずは、現在の市場ないし製品に関連がある事業を検討した方が良いかと思います。その結果、相当に現在の市場ないし製品に将来性がないと思う時に限って、新市場に新製品を投入するということを検討するべきかと思います。

アンゾフの成長ベクトルの4象限は、以下のような戦略として表現できます。

市場浸透戦略・・・現在の市場に現在の製品を展開する戦略です。低リスクでありオーソドックスな戦略です。「選択と集中」というように現在は競争が激しい時代なので、ある一定の顧客なり製品で頑張るべきです。ただし、リスクとしては市場や製品はいずれは衰退しますので、いつまでも現在の市場で現在の製品という訳には行きません。その変化の兆しを見極めることが重要です。

市場開発戦略・・・新規市場に現在の製品を展開する戦略です。髙リスクですが、製品そのものに優位性があったり、新規製品を開発するのに多額の費用が必要など製造業などのように製品を中心に展開している会社には向いています。

製品開発戦略・・・現在の市場に新規の製品を展開する戦略です。髙リスクですが、営業会社など市場・営業を中心に事業を展開している会社に向きます。サービス業もこちらの方が行いやすいかと思います。ただし、この場合には自社にて製品開発をした場合だけでなく、製品を仕入れてきたり代理店契約をして商材を増やすことも製品開発に含めるとします。

多角化戦略・・・新規市場に新規の製品を展開する戦略です。極めてリスクが高いので、まずは、市場浸透戦略、市場開発戦略、製品開発戦略を検討するべきかと思います。ただし、現在の市場が相当に衰退していたり、製品そのものにニーズがなくなりつつある場合には、思い切って多角化戦略もありかもしれません。うまく行けば、衰退企業から一気に最先端企業に生まれ変わることができるかもしれません。

アンゾフの成長ベクトル論自身は、1957年の発表されたもので、当時の製造業は単一な製品を作っている企業も存在していました。ところが、市場が徐々に成熟化しつつあり、単一製品では事業を行っていくことが難しくなりつつありました。

そのため、今後成長するためにはいわゆる多角化を進める必要があり、アンゾフの成長ベクトル論もその点に力点が置かれているように思います。

ところが今日では、製品・サービスが高度になり、たいていの市場は成熟化しているものの、中途半端な多角化では太刀打ちできない時代となっているように思います。

また多角化戦略は以下に分類できます。

水平的多角化・・・新製品を現在の市場と比較的類似性がある市場に向けて多角化を行う方法です。

垂直的多角化・・・自社で展開している製品の部品の製造を手掛けたり、販売を手掛けたりするような形で多角化する方法です。企業は通常ある業界の一部の機能やある製品の一部の部品・機能を担っていることが多いですが、最終製品までを含めたサプライチェーンに事業を広める方法です。例えば、小売業がPB(プライベートブランド)を手掛けたり、ユニクロのように衣料品の販売だけでなく衣料品の製造から手掛けたりする方法です。メリットとしては、ある程度、自社で部品まで手掛けることで短納期で製造できたり、最終的な製品の原価を下げることで低価格で販売できたり、市場の変化に対応できやすくなったります。

最近はインターネットの普及で、かつての典型的な流通経路である製造-卸―小売という
形が崩れつつあり、どの企業でも最終顧客に直接にアプローチすることができるようになりました。特に製造業などの場合で汎用的な部品などを製造している場合には、結局、価格競争になってしまいがちです。そのため、インターネットを使って、自社の特長を出して最終顧客にアプローチを試みることは多くなっているように思います。

例えば、パソコンメーカーが直接にインターネットでパソコンを販売したり、豆腐などを作っている会社でスーパーなどに卸すことを主として会社がインターネットを使って直接に最終ユーザーにアプローチするなどが挙げられます。

集中的多角化・・・新製品を開発するにしても現在の製品にある程度近い新製品を開発したり、新市場に関してもある程度現在の市場に近い特性がある市場に展開する戦略です。基本的に多角化は難しいので、なるべく自社のノウハウが活用できるジャンルでの多角化を考えるべきかと思います。

集成的多角化・・・新製品および新市場が現在の製品および市場と全く関係がない分野で行う多角化戦略です。非常に高難度な戦略です。かつては、カネボウという紡績会社が、ペンタゴン経営ということで、繊維、化粧品、食品、薬品、住宅のほぼ関連性が薄い5事業に対して事業展開を行ったなどがよい例です。

当時の繊維産業はいわゆる傾斜産業で繊維だけでは事業が成立しないという背景がありました。そのため、しかもカネボウは上場会社で企業規模が相当に大きかったので、繊維会社の周辺事業では母体を支えることができないと考えたのか、全く異なった5事業を行いました。

当時は大変に話題となり、一時は成功を収めていましたが、残念ながら2007年に会社は解散してしまいました。

特に化粧品はかなりの収益をあげていましたが、他の4事業は赤字であり、危機意識が薄くなってしまったようです。化粧品であがった収益で他の4事業を育てようと考えたのかもしれません。

従いまして、事業毎に採算を厳格化し、不採算事業からは撤退するという方法をとっていれば、カネボウは解散までは至らなかったのかもしれません。ただし、その場合はカネボウは繊維会社から化粧品会社に大きく変容していたことしょう。その場合に、自身の会社の創業の事業である繊維が完全に消えてしまうことになります。

一般に、会社は自身の歴史を重視する傾向にありますので、創業の事業をなかなか止められません。その意味で、気持ちの中でも変革が必要です。

以上、集成的多角化は各事業での設備やノウハウが共有できないので経営資源が分散してしまい、現在の経営環境を考慮すると、あまり得策な方法ではありません。

繊維事業のような傾斜産業である場合には集成的多角化が必要に迫られるかもしれません。ただし、集成的多角化はある意味で別会社が同じ会社に複数同居しているような状態なので、高度な経営管理能力が求められるように思います。





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